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危ない二者択一思考 [一日一歩前へ!]

わたくしの友人で、かつて悩み多き女性がいました。
家族、仕事、人間関係、自分自身のことなど、あらゆることで問題を抱えて
いつもいつも辛そうにしていました。

彼女はどんなことで悩んでいるか、自分がどんなに辛いかを時々話してくれましたが、
話を聞いているうちに、ふと彼女のある癖に気付くことがありました。

彼女には、全てのことを「良いか悪いか」「正しいか間違っているか」で判断をする、
考え方の癖があったのです。

「仕事で上司に注意された。自分は一生懸命やったし落ち度はない。
 でもそれは私が悪いからなのだ。」

こんな調子で、発言や行動だけでなく、考え方や人格的なことに至るまで
あらゆるもの(こと)に白黒をつけていることを指摘されるまで、
彼女自身は全く気がついていませんでした。

このような考え方では、この世の全てのものが「良いこと(人)」「悪いこと(人)」
「正しいこと」「間違っていること」「好きな人」「嫌いな人」
になってしまいます。
けれども実際は、長所も見方を変えれば短所にもなりうるし、その逆もしかり。
この考え方そのものが、彼女を苦しめている原因でもありました。

その後、彼女は癖になっている二者択一思考を自覚して、
やめるようにもできたそうで、とても楽になったそうです。
めでたしめでたし。

この思考の問題点は、あらゆることを相反(対立)するものとして
捉えている点にあります。
けれども実際にはそうではないことや、白黒つけられないことの方が多いのは
誰もがわかっていることです。

しかし、二者択一思考になっていることには気付いていないことも多いのです。
原発問題に対する意見にはそれがはっきりと現れています。

脱原発か、あるいは原発推進か。
現実的には、脱原発は代替手段がないためにすぐにはできないことは自明です。
こう書くと、脱原発派の方は「西智美は原発推進派」と思われるのでしょう。

AでなければすなわちBだ、と結論付けるのが
二者択一思考の特徴です。

関西を中心に支持されている首相公選制にしても同様です。
日本のリーダーであるはずの首相は、国会議員が選ぶ歴代首相と
国民が望んでいるリーダーがかけ離れているのだから、
アメリカ大統領選挙のように国民の直接投票で選ぶべきだといいます。

この2つの事例に対して疑問を挙げてみたいと思います。

・福島の事故は、そもそも原発という危険なものが日本にあることが原因だ。
 ならばなくすべきだ。
 ⇒いずれはそうするべきでしょう。でも今溜っているプルトニウム核廃棄物は
  どう処理するの?代替となる発電手段はどうするの?

・国会議員の多数決で首相を選ぶ仕組みはダメだ。そのシステムをなくすべきだ。
 ⇒首相公選制にするとアメリカのように莫大な選挙費用がかかります。そして
  本当に実力がある政治家よりもパフォーマンスの上手い政治家が選ばれやすく
  「衆愚政治」になる大きな危険性があるのでは?
  なにしろ、民主党を選んだのも日本国民ですから。 

わたくしはこうした問題が浮き彫りになっても、今のままでいいとは思いません。
けれども二者択一の発想から出てくるのは非現実的な議論であり、
極端な選択肢しかなく、また論点のすりかえであると思われてなりません。

どちらを選んだとしても自ら首を締めることにしかならないのです。

それ以外の道はないものでしょうか。
マスコミに乗せられた狭視的な視野ではなく、広い視野と賢い判断を
わたくし達、国民が自ら持てるようになりたいものです。


◆日本、一歩前へ!ポッドキャストもお楽しみ下さい。
・第123回 リーダーは誰でも同じ?
・第124回 原発安全革命

 


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